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#土方eyes
これは、終戦間際蝦夷の地での思い出ーーー
3人が本州へ旅立った。
それぞれがそれぞれの思いを抱きながら。
俺は再び來に会うことは出来るのだろうか。
自分らしくない弱気な思考に、ふっと笑がこぼれる。
別れる直前、総司に手渡された手紙を見つめる。
3人が旅立って3日と経つが、俺は未だその手紙を開けないでいた。
だが、これから戦に向かい、これを読まずに死ぬのでは後味が悪い。
まあ、俺に死ぬ予定はさらさらないがな。
イスにどんっと腰掛けて、真っ白な手紙を開封する。
【拝啓ーー鬼の副長様】
おい、冒頭からバカにしてやがるのか、あいつは。
脳内でツッコミを入れながら手紙を読み進める。
【今まで長い間、本当に本当にありがとうございました。直接だとなかなか素直にもなれないので、手紙を書かせていただきます。
僕達が出会ったのは、僕がまだ子供の頃。
今となっては遠い昔のように感じます。
壬生の狼と恐れられ、新選組となりーー
僕達は小さな道場の集まりだったはずが、いつの間にかあんなにも大きな組織となった。
僕はそれがとても嬉しく、だけど、少し寂しかった。
こんな事を言ったら、土方さんはきっと呆れるでしょうが
僕の家族のような存在だった近藤さんや、土方さんが皆の局長副長になってしまったのが、当時の僕にはとても寂しく感じられました。
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