274人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
おじさんが立ち去った後、僕たちの間には異様な空気が流れた。
來さんは、どこか上の空で、常にぼーとしている。
彼女もきっと、先ほどの話に期待しているのだろう。
「來さ……」
「よっし!とりあえずご飯!ご飯!ご飯食べなくちゃ!」
声を掛けようとした瞬間に、來さんが勢い良く立ち上がって、僕は何歩か後ろによろけた。
「ん?総司、なによろけてんの?」
…ったく
ほんと、強がりな人だな。
「何でも。…それより、弥斗~…」
の事でも連れて散歩に行こうかな。
突発的に思いついて、僕は彼女がいつも座っている縁側に足を向ける。
…しかし…
「あれ、弥斗…どこに行ったんだろう」
珍しくその場に彼女の姿はない。
おかしいな…さっきまではあそこに……
そう思った瞬間、ハッと目を見開いた。
まさか…
と思ったのは僕だけではなかったみたいで…
來さんも、何かいいたげな顔で僕を見て来た。
最初のコメントを投稿しよう!