本編

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おじさんが立ち去った後、僕たちの間には異様な空気が流れた。 來さんは、どこか上の空で、常にぼーとしている。 彼女もきっと、先ほどの話に期待しているのだろう。 「來さ……」 「よっし!とりあえずご飯!ご飯!ご飯食べなくちゃ!」 声を掛けようとした瞬間に、來さんが勢い良く立ち上がって、僕は何歩か後ろによろけた。 「ん?総司、なによろけてんの?」 …ったく ほんと、強がりな人だな。 「何でも。…それより、弥斗~…」 の事でも連れて散歩に行こうかな。 突発的に思いついて、僕は彼女がいつも座っている縁側に足を向ける。 …しかし… 「あれ、弥斗…どこに行ったんだろう」 珍しくその場に彼女の姿はない。 おかしいな…さっきまではあそこに…… そう思った瞬間、ハッと目を見開いた。 まさか… と思ったのは僕だけではなかったみたいで… 來さんも、何かいいたげな顔で僕を見て来た。
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