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泣き崩れるあたしに、周りがざわつき出す。
団子を食べていたその人は、食べかけの団子を皿に戻し、あたしに歩み寄った。
「何泣いてんだお前、しかもガリガリじゃねえか」
漆黒の髪は肩上までの短さになっていた。
だけどその綺麗な瞳と、凛々しい声に変化は無かった。
地面に膝をついて泣き崩れるあたしに、土方さんは手を差し伸べてくれる。
グイッと上に手を引かれ、あたしは自然と立ち上がった。
「…っじ、かた…さ」
「ったく、人の名前くらいしっかり呼びやがれ」
フッと鼻で笑いながらそう言う土方さん。
その口調に何も変化は感じられなくて、それがまたあたしの涙を誘った。
「じゃあ、案内してもらおうか。俺の探し求めてる奴のところへ」
#総司eyes
土方さんと2人で歩く弥斗を見つけ、僕は急いで駆けつけた。
「そう…じ…」
弥斗は、僕が到着するとほぼ同時、その意識を手放した。
僕はそれを見事受け止めると、ひょいとお姫様抱っこをする。
「総司。なんか大人っぽくなったな」
「大人も大人、もうオジサンですよ」
僕よりも歳上の土方さんに嫌味ったらしく言うと、土方さんはハハッと何故か嬉しそうに笑った。
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