63人が本棚に入れています
本棚に追加
/332ページ
※
そして五分後――。
俺は玄関のドアを開けて結衣を迎えた。
で? 何の用だ?
すぐ近くで車のクラクションの音が聞こえてくる。
Jの車だった。
家のすぐ近くに車を横付けして待っている。
え?
わけわからず俺は目を丸くした。
すると、結衣が俺の腕を掴んで言ってくる。
「奈々ちゃん今日出発するって、さっき電話があったの。今ならまだ間に合うから」
いや、なんで俺まで──
急に結衣が真剣な顔で言ってくる。
「本当にこのままでいいの? 奈々ちゃん、本当にアメリカに行っちゃうんだよ? 奈々ちゃんのコードネームはもう無いから、向こうの世界では二度と会えないんだからね。わかっているの?」
……。
俺は何も言い返せことができずに口を閉じた。
「もう! いいから早く行くよ! 間に合わなくなるでしょ!」
結衣から腕を引っ張られるようにして。
俺は家を出て、Jの車に乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!