彼女は幽霊

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「豊臣さんには、見えるんですか」  柚木咲哉は驚いたが、若い女は驚いた顔を見せない。 「そうよ」  と若い女はこたえた。 「怖くないですか?」 「怖い?」  ガニガニ・9・ボーテは問い返す。 「見た目、脅威があるとは思えないがな」  それを言うなら402号室のターミネーター・斑鳩メイ子のほうが物理的脅威度が高い。 「わたしはこの人にとりついている幽霊なの。名前は佐倉瑞希」 「ユーレー? ってなんだ?」  幽霊に対する恐怖心など宇宙人にはなかった。 「わたしはもう死んでいるの。霊魂だけの存在よ」 「……なに?」  ガニガニ・9・ボーテは面食らった。そのようなものが存在するとは、まったく知らなかった。
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