第7話 チェリーパイと幽霊

プロローグ

　ガニガニ・９・ボーテはヘルメットを脱いだ。

「異常なし……か」

　ヘルメットにつながれた検査機械の表示を見て、そうつぶやく。

　自室で調べていたのは、自分の目と脳だった。

　３０３号室の七草玉乃助がトウモロコシに見えていたのは、目と脳に異常があったわけではない、ということがわかった。

　では、どういうことなのだろう。トウモロコシに見えた原因は不明である。いっしょにいたルケルケ・７・トーには小学生に見えた。その理由もわからない。

　わからないことがまた一つ増えた。そうでなくてもレジデンス茜台には、未来から来たロボット、謎の怪物（実は１０４号室のペット）、正体不明の隣人墨野氏に、ただの家族ではないらしい田仲家といった、まだまだ調べなくてはならない項目があるというのに。