第2章 七月十七日、成人の儀 -3-

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  浅葱のこの体質の事を知っているのは多分、俺くらいだと思う。警兵の事情聴取の時もしらを切っているくらいだし、結菜にさえ話していないらしい。 浅葱もこの体質のせいで、小さい頃から辛い思いをして来た。同じ小学校に通っていたんだから、当時、話すような仲じゃなかったとしてもそれくらいは知ってる。 それでも、敢えて聞いた。一体、あの機人は誰だったのか。機人化するとはどういう事なのか。 誰も知らない事を、知らないままでいるのも大事だと思う。余計な知識があるせいで、浅葱みたいにかえって生きづらくなってしまう事だってある。 でも、俺はもうこれ以上、目を背けてはいけないような気がしている。 浅葱がぱちくりと瞳を瞬いて、曇った表情のまま俯いてしまう。  
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