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蝶を模したカチューシャが、瑠璃色の透明な光を反射する。そう言えば浅葱がこのカチューシャを着けるようになったのは、いつからだったろう。
「七城、桔平【きっぺい】さん」
ぽつりと、躊躇いがちに呟いた浅葱の声は痰が絡んだみたいに掠れていた。
「七城……?」
「イサジ君の従兄だよ」
「え……?」
ポカンと一瞬、思考が止まる。それはおかしい。だって俺の叔父と叔母の間には、
「あそこの家には、子供が……」
いないはず。そう言いかけてから、理解した。浅葱がゆっくり顔を上げて、じっと俺の目を見つめる。
「そう、か……」
「うん」
再び伏せた浅葱の目は俺の胸のあたりを凝視していたけど、きっと今はここではない、どこか遠くを見ている。
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