♯2オアシス

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電話の相手は余程親しい仲なのか、陽気に話し出す大樹。 しかも颯太って、相川君と同じ名前だし。 敏感に反応してしまったじゃないか。 あーやだやだ、と視線を大樹から外しボーっと人間観察をしていると、「今、元カノといるんだよ」という大樹の発言が聞こえてきて、耳だけダンボにして大樹に傾ける。 「あ?そうそう大学の時の彼女だよ、確かお前も会ったことあったよな?って、流石に覚えてないか、お前あの時小学生だもんな」 ――えっ? ちょっと待って。 大樹、今なんて言った? 電話口の相手の名前は颯太で、私に会ったことがって、その当時は小学生だった……? 心地よい酔いが一気に冷める。 ゴクリと息を飲んで、大樹の会話を聞く。 「おー、覚えてるか?うん、そうそう、あはは、お前怒られるぞ」 何やら楽しそうに話をしているが、内容が気になりすぎるんですけど。 「え?変わる?いいけど何話すんだよ、まーいいや、ちょっと待って」 大樹が耳に当てていたスマホを私に差し出して言う。 「お前覚えてる?俺の弟の友達でうちの隣に住んでた男の子、相川颯太っていうんだけど、お前と話がしたいらしいよ」
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