7人が本棚に入れています
本棚に追加
星野が丸い指で雪の積もった地面を指差した。
「穴が空いてる」
彼女の言う通りだった。
ところどころに、何かが落ちてきたような小さな穴が空いていた。
「きっと何かが溶けたんだよ」
星野は僕が思ったのと違う感想を口にした。
なるほど、確かに、そこは水をかけたように、雪の塊がスカスカになっている。
「穴じゃなくて、赤い雪だったんだってば」
白石が拗ねたように言いながら、僕の横から地面を覗き込んだ。
よく見ると、穴は色の変わっていた場所全体に渡って空いていた。
僕は上を向いてみる。
そこには、雲のない空が広がっているだけだった。
木のひとつでも植っていれば、枝から雪が落ちたとも考えられる。
しかし、周囲には雫を落とすものは何もなかった。
「もしかしてさ……」
一人だけ立っている和田が、河童顔をひそめた。
「それって血だったんじゃない?」
「血?」
僕と白石が同時に彼女を振り返った。
「深雪と伯伎くんが見たのは、赤い雪だったんでしょ? 赤いものっていったら、他には血くらいしかないと思わない? 血ならあったかいでしょ?」
最初のコメントを投稿しよう!