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 星野が丸い指で雪の積もった地面を指差した。 「穴が空いてる」  彼女の言う通りだった。 ところどころに、何かが落ちてきたような小さな穴が空いていた。 「きっと何かが溶けたんだよ」  星野は僕が思ったのと違う感想を口にした。 なるほど、確かに、そこは水をかけたように、雪の塊がスカスカになっている。 「穴じゃなくて、赤い雪だったんだってば」  白石が拗ねたように言いながら、僕の横から地面を覗き込んだ。 よく見ると、穴は色の変わっていた場所全体に渡って空いていた。 僕は上を向いてみる。 そこには、雲のない空が広がっているだけだった。 木のひとつでも植っていれば、枝から雪が落ちたとも考えられる。 しかし、周囲には雫を落とすものは何もなかった。 「もしかしてさ……」  一人だけ立っている和田が、河童顔をひそめた。 「それって血だったんじゃない?」 「血?」  僕と白石が同時に彼女を振り返った。 「深雪と伯伎くんが見たのは、赤い雪だったんでしょ? 赤いものっていったら、他には血くらいしかないと思わない? 血ならあったかいでしょ?」
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