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 赤い → 溶ける → あったかい → 血 という連想をしたようだ。 「でも……」 「それなら、その血はどこに行ったの?」  僕が抱いた疑問を、星野が先に聞いてくれた。 「蒸発した……」 「血だけ?」 「……うん」  和田の口調は明らかに自信がない。 「血には鉄分とか他の成分が含まれてる。蒸発するなら水分だけでしょう? 赤い色は残るはずだわ」  さすがは星野である。 「でも、ここだけ赤かったんなら、他に何も思い浮かばないもん。動物とかがここで死んじゃって、鳥が死体を食べたんじゃない?」  和田の推理は大胆に、そして粗だらけになった。 「私、嫌なこと思い浮かんだんだけど」  白石が大きな目を細めていた。 「なに?」  僕は小麦色の彼女の顔を見た 「ここで死んでたのは、動物じゃなくて、人間だったとか?」 「え?」  声をあげたのは僕と河童女だった。 「殺人事件てこと?」 「赤く染まった雪が突然消えることなんかないと思うから、きっと誰かが運んだのよ」
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