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「それって犯人とか?」
和田は気味が悪くなったのか、三人の輪から一歩下がった。
「そうね。物理的に考えれば、赤い雪が降ったというよりも、ここの雪が赤く染まっていたと考える方が妥当。その雪を誰かが持っていったというのは有りね」
「でしょ?」
白石が嬉しそうに星野を見た。
「ただし、それは別に死体とは限らない。ケガ人でもいいし、人間じゃなくて動物かもしれない」
僕もそう思ったが、当の星野は浮かない顔をして、周囲を見ている。
夜の間に何かの動物が、ここで血を流して死んでしまった。
それを見つけた誰かが、旅館の人間だと思うけど、修学旅行に来ている僕たちが見つける前に死体を運んだ。
でも、ここにはまだ血の跡が残っていて、それを僕と白石が見てしまった。
「あれは時間が経った血だったのか……」
白石は食後に和田と星野を連れてここに来たようだから、その間に血のついた雪をどこかに運んだのだろう。
そして今の状態に至る……。
「でも、血を隠すなら、何も運ばなくても、上に新しい雪を被せたらよかったのにな」
僕はふと浮かんだ疑問を口にした。
「私もそう思った」
立ち上がって周囲を見回していた星野が僕を見下ろす。
「まわりにこれだけ雪があるんだから……」
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