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和田はすっかり怯えてしまっている。
「ここにある雪を運んだ人がいれば、当然、ここに足跡が残ってるよね?」
「うん」
和田が恐る恐るといった様子で、自分の足もとを見た。
そこには彼女が踏み荒らした、彼女自身の足跡がある。
「私たちがここに来た時、雪の上に足跡はなかったの」
「そうだった」
白石が大きくうなずいた。
「新雪だって言って、私たちが一番目に足跡をつけたんだもんね」
どうやら、僕が来る前に、三人は子供のようにはしゃいでいたようだ。
「私たち以外に、ここに来た人はいないのよ」
星野が周囲を見ていたのは、足跡を確認していたからのようだった。
「おかしいじゃん」
「だから、おかしいって言ったよね?」
「……雪が降ったとか?」
白石が小さく手を挙げた。
「降ってた?」
星野が雲ひとつない空を指差した。
「ううん……」
白石が肩を落としながら首を振った。
ずっと窓の外を見ていたわけではないが、白石と二人で廊下からここを見てから、雪は降っていないはずだ。
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