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「この辺りで昔、戦があって、その時に負けた武将たちが、平原でみんな首を刎ねられたんだって、それ以来、雪の降らない日に、夜な夜な首のない武将が自分の首を探しに現れるって……」 「きゃーー怖い!」  今度は白石が両手で耳を覆う。 「旅館の人が夜、外に出ないように脅かそうとしただけだよ」  と星野。  残念ながら僕も、その話を聞いていなかった。 「深雪が見た赤い雪は、武将たちの血なのよ。それで、夜が明けたから消えてしまったのよ」  僕たちが見た時は、すでに夜が明けていたのだが……、 和田の真剣な顔を見ていると、そう指摘することはできなかった。 「呪いなのよ」  和田が顔を真っ青にして呟く。 「そうじゃないと、赤く染まった雪が、消えてなくなるわけないじゃん!」  消えた赤い雪は、いつ間にか怪談話に発展していた。 僕は足もとの雪を手に取って、手のひらに乗せてみた。 明らかに雪の色ではない色が見える。 でも、それと赤い雪、そして、赤い雪が消えてしまった理由は分からなかった。
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