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「お前たちは、修学旅行委員という自覚があるのか?」
馬のように長い顔、僕を睨んでいるのは、担任の設楽(したら)だった。
「すいません」
横で白石が頭を下げる。
「いいか? 修学旅行というのは、団体生活を……何とかかんとか……」
赤い雪のことに夢中になっていた僕たちは、集合の時間というものをすっかり忘れてしまっていた。
食後は各自スキーウエアーに着替え、旅館裏に集合ということになっていたのだが、僕をはじめ、白石、和田、星野の三人は見事に間に合わなかった。
担任は僕たちを探す一方で、他の生徒には迷惑をかけられないからと、揃っていた生徒をバスに乗せ、ゲレンデに向かわせていた。
そして今、誰もいなくなった食堂で、僕たちは説教を受けているのだった。
「お前たち二人は、ここで反省文を書いていろ」
設楽は僕と白石にそう言うと、和田と星野を連れて食堂を出て行った。
閉まるドアの隙間で、二人が手を合わせて「ごめん」と言っていた。
集合に遅れたのは四人だったが、修学旅行委員ではない和田と星野は、説教だけで済んだ。
これから設楽と一緒に車で追いかけ、ゲレンデに向かうのだという。
「伯伎くんごめんね。私のせいで」
横に座る白石が泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「いいよ。別にスキーがやりたかったわけじゃないから」
そう言いながら、僕は目の前に置かれた原稿用紙に目を向ける。
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