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一人廊下に残された僕は、彼女の言う赤い雪が積もった場所をもう一度見た。 彼女には赤に見えていたものが、僕には違う色に見えている。 人間は赤と緑と青を認識することができる。 しかし、僕には黄色を加えた四つの色を認識する能力がある。色を認識する遺伝子に変異があるためだ。 認識できる色が一つ増えるだけで、見える色は百倍にもなる。僕はそんな四原色の世界を見ている。 だから僕は、その雪が赤くないことも、それが雪ではないことも、この時に分かっていたのだ……。
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