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 僕の学校は毎年冬に修学旅行がある。 「どうしてうちの学校はスキーなんだよ」  朝食を口に運びながらクラスメイトの一人がぼやいた。 「京都とかの方が良かったか?」  これは別の男子だ。 「寺ばっかりはちょっと……」  先ほどの男子が一瞬考えた後に首を振った。 「ここは雪ばっかりだけどな……」  僕が座るテーブルのまわりは、修学旅行の二日目の朝にして、すでにそんな愚痴しか出てこなかった。  僕はその会話に加わることなく、名物らしい漬物をポリポリと食べていた。 「修学旅行ってのは、面白くない所に行く行事なんだよ」 「なるほど、それなら女子と仲良くなるしかないな」  そう言いながら、男子は女子が座るテーブルに目を向けた。 「そういえば、那岐(なぎ)は白石と仲が良いよな?」  突然話を振られる。 「え?」 「さっきも一緒にいたじゃん」  いつの間にか、テーブルにいるみんなの視線が僕に集っていた。 「あれは、みんなの体調を先生に伝えに行っただけで……」  僕は修学旅行委員で、生徒が揃っていること、体調を崩した生徒がいないこと、などを定期的に報告しなければならなかった。
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