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もちろん、自分でやりたいと言ったわけではない。 そんな仕事は誰もやりたくない。 最終的にくじ引きとなって、僕は外れてしまったのだ。 今朝、白石と一緒だったのは、彼女が女子の修学旅行委員だからだ。委員は男女一人ずつ選ばれる。 彼女もくじ引きで外れたのだ。 「白石はかわいいよな」 「陸上部だから、いつも真っ黒だけど」 「それがいーんじゃん」  僕は他の男子に倣って女子のテーブルに目を向けた。  すでにご飯を食べ終えたのか、彼女の姿はなかった。 「伯伎(ほうき)くんちょっと来て!」  食事を終え、部屋に戻ろうとした時だった。 スキーのウエアーに着替えた白石が、僕たちのテーブルに近寄ってきた。 男子たちの好奇の視線を感じる。 「どうしたの?」 彼女は廊下にいた時と同じように頬が赤かった。 「いいから早く!」  その勢いにおされ、僕は彼女に続いて食堂を出た。  後ろで 「ほら、やっぱり仲が良いじゃん」  という声が聞こえた。
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