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 赤かどうかは分からないが、ここの色だけが違っていたのは事実だ。 「別に深雪が嘘を言ってたって思ってるわけじゃないから」  足もとの雪を見ていた女子が顔をあげた。 河童に似た彼女は、真面目な顔で「大丈夫だよ」とうなずいている。 「きっと溶けちゃったんだよ」  確か、和田京花(わだきょうか)、白石といつも一緒にいる女子だ。 「赤い雪だけ?」  白石が勢いよく和田を見た。短い髪が跳ねるように舞う。 「そんなこと言われても……」  和田は困ったように、もう一度足もとに目を落とした。 「伯伎くん、この辺りは全部赤かったよね?」 「うん……」  白石の言葉にうなずきながら、僕も屈んで雪面を見た。 先ほど見た色彩は完全に失われている。 「それって雪だった?」  僕の前で、同じように屈んでいた女子が、眼鏡越しに僕を見ていた。 顔も身体もふっくらとしている。 クラスで一番頭の良い星野玲奈(ほしのれな)だった。 「どういうこと?」 「ここを見て」
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