始まり

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~小松航空基地上空~ キィィィィンゴォォォォォォ…… 黒い雲、土砂降りの雨のなか、雨水と雷鳴を吹き飛ばしながら4機の戦闘機が駆け抜けていく。 「こちらイーグル1、各機異常はないか?」 『こちらイーグル2、異常はありません。』 『イーグル3、異常なぁし。』 『イーグル4、異常無し……』 「小隊全機確認……しかし今日は本当に雲行きが怪しいな何か悪いことでも起きなければいいが。」 『こちらイーグル2、大丈夫ですよ小隊長、この機体は落雷如きで壊れたりしません。』 「まあそうだがな……よし、全機高度上げつつ散開!任務開始だ。」 『『『了解』』』 綺麗に編隊を組んでいた戦闘機がわかれ、予め決められた方角へと飛んで行く。 俺らは、F-3の増備によって新たに発足された部隊だ。 最近は日中の情勢も落ち着いてきてはいるものの、それでも睨みをきかせるため、定期的に国境近くまで飛んで哨戒している。 今日も、穏やかとは言えないが平和な日本海を眺めながらの安全飛行になる……筈だった。 『…………こ、こちらイーグル2!レーダーに異常……いえ、HMD(※)、計器にも異常発生!!』 「なんだ?故障か?」 『こちらイーグル3!俺のもHMDがおかしい、高度と速度が7桁を超えてやがる!』 2人の隊員が、同じ機体の異常をほぼ同時に訴えて来た。 ……俺の機体もおかしい、異常に数値がデカくなってるし、レーダーも真っ白になっている。 なんだ?故障か?それにしても、こんな異常が起こるなんてシステム上ありえることではない。 複数機同時に起きたこともあって落雷が原因とも言えず、いよいよ以て何がなんだがわからなかった。 『こちらイーグル4、隊長、上……』 僚機の一人が、上空から迫ってくる何かに気づいた。 …なんだあれは?太陽か? いや、違う…あれは……………… 突如、眩い光が俺たちを包み込み、辺りが空から海まで全てが真っ白になったかと思うと、機体に衝撃が走り俺の意識は途絶えた。 ※HMD:ヘッド・マウンド・ディスプレイの略。パイロットが装着するヘルメットのグラスに機体のあらゆる情報が投影される。
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