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~「所謂」東シナ海、空母艦上~
私の名は、園田 零(ソノダ レイ)、この、ほうしょう型空母二番艦「あかぎ」に搭載されている、101艦上戦闘機隊の第一中隊長、コールサインは「ガル1」。
一機の灰色の戦闘機……私が乗る「零」が、低い唸り声を上げながら艦上で佇んでいる。
「こちらガル1、機体、兵装の最終確認完了、システムオールグリーン、発艦許可を願います。」
『こちら赤城。了解、発艦経路に障害物なし、発艦を許可する。』
ドドドドドドゴォォォォォォ……
空母からの通信と共にスロットルレバーを押し込むと、私の愛機がノズルから炎を上げて咆哮し、そしてカタパルトによって空へと投げ出された。
『ガル1、高度制限を解除、貴機の幸運を祈る。……行ってらっしゃい「クイーン」!』
「もう、そのタックネームで呼ぶのはやめてって言ってるでしょう……」
『ハハハ、すまんすまん、行ってこい。』
「……行ってくるわね。」
私は、練習機時代前期の性格が高飛車且つ好成績だったので、上官から「クイーン」というタックネームを付けられてしまった。
その時のことを知っている者からはからかいとして、それ以外の者からは敬意を込めて呼ばれる。
身から出た錆とはいえ、困ったものよね……
とにかく、管制塔に挨拶をすませると、自機の脚を畳み、可変翼を畳み、急上昇した。
上空では、既に離陸を完了していた僚機達がクルクルと弧を描いて飛んでいた。
本当は私が一番最初に離陸する予定だったんだけれど、整備員が手間取ってしまい最後の離陸となってしまった。
「こちらガル1、ごめんなさいね、離陸の準備で手間取ってしまって……全員、異常はないかしら?」
『 こちらガル2、ガル2、3、4.全機問題なしですよ。』
「了解。各機、打ち合わせ通りの行動に移りなさい。作戦開始よ。」
『『『了解!クイーン!』』』
「……はぁ……」
私が号令をかけると、僚機がまるでアクロバットのような飛行をし、無人偵察機を囲んで素早く菱形の編隊を組む。
それを確認すると、私は小さく溜息をついた。……悪気が無いから怒るわけにもいかない。
さて、妙な胸騒ぎがするわ、何もないと良いのだけれど……
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