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今回の偵察作戦は、全国の戦闘機部隊や偵察機、(※)AWACSが多数参加し、多方面に向けて出撃している。
更に何があっても良いように、現在稼動可能な戦闘機の全てに待機命令が下されている。
広範囲をカバーするため、小規模の部隊を大量に編成してあるのが特徴だ。
向こうに敵がいるか……否、そもそも何がいるかすら、全くわからない。
一応、衛星写真には不確実ながら城や街のようなものが写っており、文明があることは確認できたらしいけど、飛行場と思わしき場所は一切なかったみたい。
どちらにせよ、向こうの戦力や索敵能力はわからない、もしかしたら私達は全滅するかもしれないし、逆に何も見ずに帰ることになるかもしれない……
日中紛争に関わっていない私にとってある意味、経験した中で一番危険な作戦かもしれないわね……
『……見えてきましたね。』
「えぇ……そうね。報告にあった通りだわ。」
ガル2…関 達也副隊長が呟くように言い、私がそれに応える。
本来なら太平洋である筈の場所。
その筈が、この辺では見たこともない大きな陸地が広かっているのである。
『この辺……この前まで海だったんですよね?』
部隊の中で一番新米のパイロットが、呆気に取られたような感じで皆に問いかける。
『そうだな……一体俺たちの地球は、どうなっちまったんだろうな。』
「私達の地球が変わってしまったのか…………もしくは、私達が移動したのか……」
『隊長、それはどういう意味で』
『こちらAWACS、12時の方向に飛行する物体!(※)IFFに応答なし、敵味方不明!』
「!!」
部隊に緊張が走る。
※AWACS:作戦空域の上空で自分の部隊を指揮する飛行機。巨大なレーダーが搭載されており、旅客機や輸送機が元になっていることが多い。
※IFF:敵味方識別装置のこと。予め決まっている暗号電波を送り合うことで、お互いが味方かそうでないかを確認することができる。
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