思い掛けない誘い

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仲通りの角を曲がってすぐ。 煉瓦造りの古い建物の1階にそのカフェはあった。 看板に書かれたゴシック調の“Meglio”の文字。 “Meglio”はイタリア語で“最上級”を意味するのだと美智は教えてくれた。 「“最上級”だなんて、随分なネーミングね。」 堂々と掲げられたその看板の文字に苦笑する私。 だけど美智は、この店の全てがこの単語の意味通り“最上級”なのだと言う。 「まぁ、入ってみればわかるよ。 とにかく全てがすごい。 今日は祝日だからいつもより混んでるかもね。」 そう言って美智は木で造られた店の扉に手を掛け、嬉しそうな笑みを浮かべながら店内へ続くそのドアをゆっくりと開けた。
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