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「お姉ちゃん!」
斜め後ろから聞こえたその声に反応し思わず振り返る。
声の主の視線は間違いなく私の方を向いていた。
そしてノースリーブのカットソーから見える細い腕は、私に向かって大きく手を振っている。
「美智!」
顔を綻ばせ彼女の元へと向かう。
しばらく会わぬ間に、また彼女は可愛くなったような気がした。
「久しぶりー!
ちょっと、たまには実家に帰ってきなさいよ?」
「だって~!!
思いの外学校もバイトも忙しくってさ。」
昔から変わらないやりとり。
いつも寂しがるのは私ばかりで、実家を離れ一人暮らしを始めた彼女は口煩い両親に干渉されずのびのびと日々を楽しんでいるようだ。
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