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「…本当に、申し合わせありませんでした!」
代表者三名が深々と頭を下げると無数のシャッター音と光が会場を包んだ。その代表者が頭を下げている様子がそのまま翌朝のニュースとなって流れる。
「ふああああぁ~。」
俺は“谷田葺 幹夫(ヤタブキ ミキオ)”。都内の大学3年生だ。部活にも所属せず勉強もほどほどの生活。入っているのは月1~4回のボウリングサークルだが、ボーリングもしない時だってぼちぼちある。アルバイトは最低限しかしていない。彼女は無し。自分の時間をたくさん持っている人間だ。まあ、もっとも今の様に寝ていることが多いんだ。
今日は木曜日だが授業は無い。研究は昨日少し進めておいたから今日は一日だらだらとしているつもりだ。おかげで起きたのは午前10時を過ぎている。ぼさぼさの頭を適当にに整えながら俺はニュースを見ている。この時間は大して面白い番組もやっていないからなんとなくで見ている。
『…本日で明らかになった海央ホテルのレストランの食品偽装。我々の食の安全が脅かされる事態が続いています。この事件、マーケティング専門家の林田さんはどうお考えですか?』
『そうですね…、先週は株式会社ビーフベストの異物混入がありましたのよね?どうしても人間が食べるものですからね、食べ物は子どもも口にします。これは今までの安全の対策を考え直す必要が、業界全体であるのかもしれませんね。』
『やはり…これからはより厳しい制度の確立が求めらるようですね。』
「…な~に言ってんだよ。食品偽装なんて絶対ホテル側が儲けをだすためにやってるんじゃねぇーか。異物だって機械の見逃しで1000袋に骨が入るって気づけないわけ無いだろうが。厳しいとかじゃなくて手抜きが多いんだよ。」
俺は一人でTVに向かって反論していた。俺がとやかく言える性格ではないがきっとみんなそんなことを思っているだろう。
しかし、最近は食品の問題が次々と上がっている。俺でもここ一ヶ月で何度か食品の問題のニュースを耳にしている。
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