いいこと

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「なあ、菊森のヤツ、なんか浮かれてねえか?」 社長室。 たった今、社長と私との3人での打ち合わせを済まして室長が出て行ったところだった。 「…そうですか?」 「…つうか、お前もうれしそうじゃねえか」 「…そうですか?」 「…何なんだよ、二人で」 「何でもないですよ…」 「怪しいな」 渉さんの腕が私に伸びる。 「…何を隠してる?」 「何も…ただ…いいことが…あったんです」 「いいこと?」 「…はい」 「いい度胸だ。俺にはヒミツか?」 …まさか そんな勇気はない。 「…今夜…ゆっくり教えてあげます」 私が言うと、渉さんはゆっくりと口角を上げた。
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