いいこと

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「な、何で私に…。今は私じゃなくて…」 急に話を振られるから動揺する。 「そうだったのかって聞いてんだよ」 この目… 私に拒否権を与えない…かつ、私が答えるまで譲(ユズ)らない気だ。 「…そうです。うれしかったです。今も…うれしいです…とても」 「…へえ。あ、今夜は何かをゆっくり教えてくれるんだって?さっきの答えはどうでもいいから…もっと別のことを教えてもらう」 「べ、別の…?」 「ああ、もっといいこと」 …いいこと? 「さ、今日は早く帰るためにも気合入れるぞ。ボヤボヤすんな。仕事に戻れ」 『いいこと』が何かわからないまま… 私は社長室を追い出された。 何だかモヤモヤするけれど、そう、気合を入れなくちゃ。 私は背筋を伸ばして秘書室に戻った。
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