いいこと

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秘書室に戻ると、思わず視線は室長へと伸びていく。 室長はデスクで手と視線を忙(サワ)しなく動かし、いつも通り無駄がない。 キリリと引き締まった表情も… あれ? …引き締まって…ない。 室長… 口元が…緩んじゃってる。 「…もしもーし。望愛。何にやけてんの?」 席から声を掛けてきたのは理央。 「ほーんと、今、室長のこと見て微笑んじゃってなかった?」 奈美も頬杖(ホオヅエ)をついて口を出す。 「モンスターに…」 「言いつけるわよ」 二人がニヤリと笑みを浮かべる。 …コワい。怖すぎる。 「私は…渉さん一筋なの!」 「きゃー」 「わー」 理央と奈美が声をあげた。
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