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紅虎の前には、何故か泣きじゃくる、長い金髪を後ろで一つに纏めた、赤いエプロン姿の女性と、その背中を優しくさする、金髪を短く刈り上げた長身の男性。
始めは、何故鉱石を引き上げるだけなのに泣いているのか疑問に思った紅虎であったが、話を聞き、納得する。
紅虎は二人の話を聞き、自分の中で纏め、結論を出した。
「えーと、話を纏めますと、お二人は夫婦で、昨日の夜から娘さんが行方不明。行方不明になる前は、奥さんと喧嘩して飛びだして行った…と。つまりは家出なんですね、はい。」
そこで、紅虎は奥さんを正面から見据える。
「話全然違うじゃないですか。鉱石どこ行ったんですか。」
「あれは嘘です。」
泣きながら女性は紅虎の問いに答える。
「娘とこのパン屋を継ぐかで口論になって、娘は「もうこんな家出て行ってやる!」と言って出ていきました。その後から帰って来ないから心配で心配で…!
でも只の家出だったら依頼を受けてくれなさそうだったから、話を盛ってみました。すみません。」
「いや…いやいや!盛りすぎだろ!逆にその鉱石の発想が出て来たのが凄いよ!」
あまりに予想外な話に紅虎は、依頼主相手に敬語ではなく、素の紅虎になってしまう。
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