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少女が、けたたましいエンジン音と共に村の中に入ってきた途端、市場を開いていた人びとは【パアッ】とまるで花が咲いたような笑顔で駆け寄ってくる。
その顔を見て、少女がバイクを降りて歩いてくると、たちまち周りを老若男女、様々な人びとに取り囲まれた。
「来たのかい、紅虎や。」
「虎ちゃん来た~」
まるで家族が帰ってきたかのような出迎えに、紅虎と呼ばれた少女は、腰に手を当ててニカッと笑う。
「おう。お前等も相変わらずうるさそうで安心した。って、おいガキ共!あたしのバイクはオモチャじゃねんだぞ、降りろ!」
そう言って紅虎は、自分が先程まで乗っていたバイクを指差す。
そこには、バイクに跨り様々な部品を弄る子供達の姿が。
さらには、跨ったはいいが、予想以上の高さに降りられなくなってしまう子供もいる。
「うわーん!虎ちゃん、足がつかないよー!落ちちゃうよぉ」
「何してんだよ、もー。ほらよっと。」
紅虎はため息を一つつくと、産まれたての子鹿のように震える子供をかかえてバイクから降ろす。
【イラストは真澄ゆあさんから】
かわいい紅虎、まじうらやましっ!
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