血染めの紅い虎

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「ま、話変わりますけど、あれから魔獣は出てないですか?」 おやじに腹パンをした後、悶えるおやじを無視して紅虎は、真面目な顔で近くにいた青年に話しかける。 「あぁ。紅虎が討伐した後からは、全く出てないよ。この通り平和に暮らしてる。こうして平和に暮らせるのも、紅虎達、【ギルド】の人達が守ってくれているからだね。」 紅虎の問いかけに、くり色の短髪に黒眼の青年は、朗らかに笑った。 この世界、【イリスバーナード】は、決して平和な世界では無い。 世界各地に魔獣と呼ばれる、人間を餌にする獰猛な怪物が潜んでいるのだ。 ある日突然、象のような巨大な魔獣が現れ、街を壊滅させていったという例も少なくない。また、危険なのは何も魔獣だけではない。 人間ですらも危険な世の中なのだ。 うっかり油断してしまうと、いつの間にか、臓器を売られているというような事もある。 もはや、ここは自分以外、誰も信じられない世界と化していたのだ。 だが、そんな世界を変えようとしている者達がいる。 それが、先ほど青年が口にした【ギルド】であった。
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