4人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の将来を本気で心配するおばちゃんに、紅虎は【プウッ】と頬を膨らませてすねた様子をみせる。
今、この村人達が笑って過ごせているのは、紅虎のおかげだといっても過言ではない。
2年前、この村を魔獣が襲った際、依頼を受けた紅虎によって村は救われた。それからというもの、紅虎と村人達の関係はいまだに続いているのである。
と、その時、紅虎は自身の右腕につけている腕時計を見て「あ」と声をあげた。
「悪い。もう行かないと。じゃ、皆さんお元気で!」
依頼時刻が迫っている事を確認した紅虎は、慌ててバイクにまたがり、けたたましいエンジン音を鳴らしながら、出口のほうへと背中を向け、顔だけ村人の方へ向け手を振る。
それに応え、村人達も笑顔で手を振り返した。
「気をつけてねー!」
「また来てねー!」
「次は彼氏連れてこいよ!」
「何言ってんだてめえ!彼氏はうちの馬鹿息子だって決まってんだよ!なぁ、虎ちゃん。」
口々に好き勝手な事を言って
送り出す村人達に、紅虎は「ふ…」と微笑む。
「だから、彼氏にする気はありません。」
そう言って、彼女はバイクを発進させ、走り去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!