血染めの紅い虎

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彼女の将来を本気で心配するおばちゃんに、紅虎は【プウッ】と頬を膨らませてすねた様子をみせる。 今、この村人達が笑って過ごせているのは、紅虎のおかげだといっても過言ではない。 2年前、この村を魔獣が襲った際、依頼を受けた紅虎によって村は救われた。それからというもの、紅虎と村人達の関係はいまだに続いているのである。 と、その時、紅虎は自身の右腕につけている腕時計を見て「あ」と声をあげた。 「悪い。もう行かないと。じゃ、皆さんお元気で!」 依頼時刻が迫っている事を確認した紅虎は、慌ててバイクにまたがり、けたたましいエンジン音を鳴らしながら、出口のほうへと背中を向け、顔だけ村人の方へ向け手を振る。 それに応え、村人達も笑顔で手を振り返した。 「気をつけてねー!」 「また来てねー!」 「次は彼氏連れてこいよ!」 「何言ってんだてめえ!彼氏はうちの馬鹿息子だって決まってんだよ!なぁ、虎ちゃん。」 口々に好き勝手な事を言って 送り出す村人達に、紅虎は「ふ…」と微笑む。 「だから、彼氏にする気はありません。」 そう言って、彼女はバイクを発進させ、走り去っていった。
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