第1章 死神の告白

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生前…と語るのも、なんだかおかしな表現だな。 しかし、『すでに死んでしまった』現在の僕にとって、それは生きていた頃の記憶…つまり『生前の僕』の記憶なわけだから、間違いではない。 僕は当時、生に対する執着がまるで、いや、ほとんど無かった。 たかだか16歳の少年だった僕は、無気力で、将来の夢もなく、むしろ未来などというものを想像するのも億劫(おっくう)であった。 ただ何となく学校へ行き、時間になれば家に戻る。 そんな毎日の繰り返しに何の意味があるのか。 死んでしまった『今』でさえ、よく分からない。 そんな僕を天は見放したのだろう。 16歳のある日、僕のもとに死神がやってきた。 死の宣告を受けた僕は、特に慌てるでもなく、家族あてに遺書を書くでもなく、あっさりとその日を迎え、天に召された。 死神は言った。 「やり残したことは、本当にないの?」
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