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「ふー」
スティーブは寝ているジョンソンの肩をつかんで、揺さぶって起こそうとした。
「ジョンソン、おい、起きろ、ジョンソン」
ジョンソンはシーツを首までかけながら言う。
「んーもう少し、もう少しだけ寝かせてくれ」
スティーブの怒りは頂点に達した。思わず、こぶしで、軽くジョンソンの腹をたたいた。
ジョンソンは腹を抱えながら、起き上がり言う。
「いてえな、何すんだよ、いったい」
スティーブはそんなジョンソンを冷たく見ながら低い声で言った。
「ジョンソン、お目覚めか、ずいぶん長く寝ていたな」
それを聞いたジョンソンはわざとらしく笑っていった。
「ふぁー、スティーブ、今何時だ」スティブは言う。
「今、12時半を過ぎたところだ」
ジョンソンは、寝ぼけながら言った。
「すまんな、スティーブ、30分以上遅刻しちまったな」
スティーブはタバコをふかせながら言う。
「頼むぜ、ジョンソン」
今日、ジョンソンは仕事の日ではなかった。仕事に来るはずだったダイアンというと言う
中年の男性が、来る予定だった。
だが、ダイアンは、3日前、交通事故を起こして、3か月、入院していて代役として、
仕事に入ったのだった。
ジョンソンは、タバコを吸っているスティーブを見て、
もう我慢できないといった顔をして、スティーブに言う。
「なぁ、スティーブ、悪いが俺にも一本くれないか」
スティーブは呆れた顔をしながら一本渡し、火をつけた。
「お前、やめたんじゃなかったのか、まだ、1週間ぐらいだろ」
ジョンソンは頭をかきながら言った。
「いや、あれだな、やっぱり駄目だったよ。これ以上やめると、頭が痛くなる」
二人はしばらく無言だった。
ジョンソンが沈黙を破る。
「ところで、スティーブ、あの話どう思う」
スティーブは、目を鋭くしながら言った。
「まあ、本当かどうかわからんが、ダイアンが嘘をついているとは余り思えんな」
ジョンソンは、「ああ、確かにな」と言った。
ダイアンは3日前、博物館に入ってきた、呪いの人形にたいしてこんなことを言っていた。
「しかし、不気味な人形だねーこいつ気持ち悪いな」
この人形の名を「イエズラ」と言った。この人形には悪いうわさがあった。
この人形を手に入れた、様々な人が、奇怪な死を遂げていたからだ。
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