柴田家のカイコ

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その日、学校帰りに妹は友達を連れて帰宅した。 そしていつものように妹の部屋までいき、楽しくお喋りしていたらしい。 いく途中に階段を上るわけだが、そのときは特に変わったことはなく、友達が帰るときに階子に異変があった。 その友達が階段に一歩踏み出したときだ。 ギシっと一際大きな音が鳴った。 そのとき自室にいた僕にまで聞こえてきたので、それなりに大きな音だったはずだ。 普通の人なら、なにごとかとびっくりするところだろう。 実際その友達も固まっていたらしい。 でも、僕らにはそれが階子によるものだってわかる。 僕にも聞こえたその音はこう言っていた。 「重さが違う。来たときよりも重い」 それも多少のものではないだろう。 階子も馬鹿ではないので、少しの違いで騒いだりはしない。 また、どこに目があるのか知らないが見た目の変化も認識できる。 つまりは来たときと同じ格好なのに、不自然に重かったのだ。 結論を言うと、その友達は自分のではなく、妹の学生鞄を持って帰ろうとしていた。
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