第7章 夕涼みの誘い

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「明日、店長達と夏祭りに行ってきても良いかな?」 思いだしたように、口にする由美子。 複雑な勇樹の心情を、知らずに。 「………店長って男だろ?しかもイケメンの。夜遊び相手には良いかもな」 勇樹の口調も、自然とトゲトゲしくなる。 「そんな風に言わなくても良いじゃない!2人っきりじゃないし、それに店長は、勇樹が思っているような人じゃないからね!」 力を込めて、主張する由美子。 「確かに、世間的に格好良いと思うけど、店長は男性のほうが好きだって前言ってたし……勇樹の思っているようなことはないよ」 「ふーん、女性と比べたら男性のほうが好きってことかもよ?世の中には、男性・女性両方ともいける人もいるからね」 いわゆる両刀使い、と勇樹が言うと、由美子は顔を赤らめる。 「え、え、でも、店長はお姉さんみたいな存在で……た、多分、大丈夫だと思うよ!」 途端に弱くなった口調に、思わず口元が緩む勇樹。 心の動きがわかりやすい由美子。 (相変わらず、素直すぎるぐらいの反応だな……気のせいだったかな?) 焦燥感もいつの間にか、鳴りを潜めていた。 「ごめん、意地悪だったね。いいよ、楽しんでおいで」 腕を伸ばして、由美子の頭を撫でてやる。 「晩ご飯は気にしなくて良いよ。外食するから」 「ありがとう!」 「……感謝は態度で示して欲しいな?」 笑顔の由美子に、勇樹も楽しげに目を細める。 人差指で、何度か自分の唇に触れる勇樹。 案の定、うろうろと目線をさまよわせる由美子。 「早くしないと……」 「うぅ~」 ちょっとした意地悪で、目は開けている。 片手で、髪を押さえながら赤い顔を近づけてくる。 チュッ、と掠めるようなキスで済まし、離れていく由美子の手首をしっかり捕らえる。 びくり、と身体を震わす由美子。 「今夜は、疲れた俺を癒してね?」 捕らえた指先に口づけを落とす。 「……先にお風呂入って、待ってて。後から行くから」 硬くした身体から、力が抜けるのがわかった。 (今すぐでも、構わないけど……) 久しぶりの夜を過ごす。 少し、気持ちの整理が必要だろう。 そのかわり、今日は手加減するつもりもない。 花屋の仕事も良いが、勇樹としては早く2人の子供が欲しい。 (もう十分待ったから良いよね、由美子?) さぁ、家族をつくろう。
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