第7章 夕涼みの誘い

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あからさまに安堵のため息をつく、由美子。 湯の中は完全に濁って見えない。 その様子を見て、勇樹は少し残念に思う。 (大人しくしてたご褒美だったけど……早まったかな?) まぁ、いい。 見えなくても、それなりの楽しみ方がある。 スルリ、と浴槽内に身を滑らした。 いつもなら、ゆったりと手足を伸ばし、入ることができる浴槽。 その中で、窮屈そうに身を縮める由美子。 それもその筈。 背中に感じる勇樹の胸。 背後から軽く抱きかかえられる状態で、湯の中に浸かっている由美子。 「緊張してるの?」 首筋に頬を寄せ、囁く勇樹。 吐息が耳たぶに触れて、思わず身をよじる。 「……んっ!?」 身動きをすると、接している肌と肌がこすれあう。 途端に大人しくなる由美子に、勇樹は口元を緩める。 抱きしめていた腕を、ゆっくりと動かす。 「……やっ……はぁ!」 「見えないのはもどかしいけど、何だか興奮するよね……ここは膝?」 片手で身動きを封じたまま、由美子の身体を確かめるよう触れていく勇樹。 大きな手のひらが、各所をいやらしく撫でまわす。 与えられる刺激に、我慢しきれない吐息が漏れる由美子。 せめて少しだけでも勇樹から離れようと、必死で腰を浮かす。 その無駄な抵抗に、喉の奥で笑い声を漏らした勇樹。 余裕たっぷりな様子で、軽く腕に力を込め、由美子の身体を引き寄せる。 そのまま強く抱きしめられる。 由美子の下半身に押しつけられている熱くて、硬い存在。 「何だかわかるよね?このまま貫いてもいいけど、それだけだとつまらないだろ?折角だから、由美子に可愛がってもらおうかな……」 脇下に手を差し入れられ、ぐるりと身体を反転させる。 水面が波打ち、由美子の頬に水滴が飛ぶ。 それを舌で舐めとり、艶やかに微笑む勇樹。 「……泣いても許してなんか、あげないよ?」 向かいあう勇樹の目の前で、首を横に振る由美子。 上気した頬に、瞳から零れ落ちる涙。 そんな由美子を見つめながら、欲情に掠れた声で勇樹は宣言する。 目の前で揺れる果実に唇を寄せると、甘い声がもれた。 腕の中の由美子の身体は火がついたかのように熱い。 「ん……もう、やぁっ…!」 「一緒に気持ち良くなろう、ね?」 湯の中で捕らえた由美子の両手に、無理やり勇樹自身を握りこませた。
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