第1章

9/34
前へ
/34ページ
次へ
そう言うと、 煮え切らないわたしの言葉に愛想をつかしたのか、諦めモードの涼がわたしの腕を取って 「部屋に来いよ」 腕を掴まれたまま、靴を脱いだ。 そして、涼に手を引っ張られたまま、涼の部屋へと続く階段を上った。 部屋に入ると、机の上に置いてあった、ピンクのipodを手に取り、わたしに手渡してきた。 「ありがとう……あのアニソン入れといてくれたの?」 「うん。沙都が好きだって言ってたし、今日サッカー部のヤツにCD借りたから」 ipodのイヤフォンを自分の耳に入れ、操作する。 お気に入りの曲が流れて来た。 ハイテンションの曲。 さっきまでの重い気持ちが少しだけ晴れて来た。 好きな音楽を聴くと、嫌な事も忘れられる。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加