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がしていた。僕は、その頃、どこに行くのも、何をするのも、石津と一緒だった。
誰が見ても、僕は有頂天になっていた。
どこへ行っても、誰からもチヤホヤされたし、女にも急にもてるようになった。僕の行
くところに、女が着いてきたといえた。僕は、最初、そのことに戸惑ったが、束の間のこ
とで、すぐに、そんな常態を享受しようとした。その邪魔を、石津がした。女なら絶対に
安全なのを俺が調達するから、あの手の女を相手にするなといって。石津のガードは、そ
のきつい言葉以上の厳しいものだった。それでも、幾度かは、石津の眼をごまかして、遊
びはしたのだが、石津のいった通り、有名人好きの女ばかりで、何の魂胆もない女には出
会わなかったばかりか、関係を清算するのにも苦労した。そんなことも、石津の監視がき
ついせいに思えて、ついには、「それほどいうなら、お前が女を用意しろ」といってしまっ
た。
石津が、調達してきた女は、僕にまとわりついてきた女たちより、見た目にもずっとい
い女が多く、僕は、石津の言に従ったことが間違いではなかったことを、悟らされた。し
かも、石津は、毎回違うタイプの美人を連れてきたし、同じ女を二度連れてきたことはな
かった。かなりの期間、僕は、石津の調達してくれる女とのセックスに興じた。仕事は、
その間、ずっとさぼっていた。仕事より女と遊ぶ方が、ずっと楽しいのだから。しかし、
そんな遊びにも飽きがくる。僕が飽きてきているのがわかったのか、石津はある提案を、
僕にした。それは、次作のためにもなるといって。
僕の次作は、監禁された女が出てくる話で、この作品も、そのヒントは妻の真理子から
のものだ。監禁された女が、語りかけてくると、ある日、突然、真理子が語り始めたのだ。
その内容を僕はメモして、それを元に小説の下ノートを作って、石津に渡してあった。石
津は、催眠術か何かで、肉体の自由だけを奪って、監禁することにしたら、精神的な苦痛
が、うまく表現できて、おもしろいかもしれないといって、催眠術や心理学の資料を揃え
てくれた。いつからともなく、石津は僕の資料係も、勤めてくれるようになっていた。そ
の作品の執筆が、女遊びのためにとまっていたために、そんなことをいい出したのかもし
れない。
「女に、催眠術をかけて、監禁してみないか」
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