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ある日、ぼくは真剣に彼女へのプロポーズを考
えた。
生活も、二人で生きていくぶんには困らない程
度の稼ぎはある。
貯金はまだそれほどないけれど、少し高めの指
輪くらいなら買えると思った。
店に入って物色しようと思ったが、気おくれし
てなかなか入れなかった。
第一、彼女の指のサイズがぼくには検討がつか
なかった。
彼女とあったときに実物の指をそれとなく眺め
、
ネットで調べて目安がわかった。
休みの日、テレビゲームに夢中になっている妹
に、
ちょっと出かけてくると伝え、ぼくは駅前の宝
飾店に向かった。
そこでシンプルだけど、彼女に似合いそうな指
輪を買った。
すぐに彼女に連絡して、向こうのマンションで
会うことになった。
喜びいさんで彼女のマンションの前についたと
き、
マナーモードにしていた携帯が激しく震えた。
アパートの管理人のおばさんで、親身になって
ぼくら兄妹の世話をしてくれている人からだっ
た。
妹が近所の踏み切りの中に立ち入り、
騒ぎになっているから早くこっちに来てくれと
叫ぶようにまくしたてられ、ぼくは一瞬頭が真
っ白になった。
とにかく、その自宅近くの踏み切りまで駆け戻
った。
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