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「…二人が…指輪してるよ。」
「結婚したんだから普通だろ。」
私たちの横で美咲と成瀬さんが私たちの手元を見つめる。
「…そんなに…見ないでよ。恥ずかしい。」
私は照れてしまって左手の薬指を右手でさすった。
「照れるな。照れるな。」
「…見過ぎ。」
「月曜に会社行ったら、みんなの注目の的だね。みんなが二人の指輪を見たがるよ、きっと。てか、部長は見せびらかしそうだけど。」
「当たりだな。でも、俺よりゆいの指を見てもらいたい。俺のものだって印だからな。」
「…はいはい。」
「…へいへい。」
「ところでさ、月曜から会社行っちゃうし新婚旅行ってどうするの?」
「…うん…。」
私は曖昧な返事をしてから部長に視線を送る。
「すぐにでも行きたいくらいだし、ゆいを連れて行ってやりたいが…二人が同じ部署だしな。二人同時に何日間か休むのは難しい。土日で行ける範囲しか…無理かもしれないな。」
「私はそれで十分ですよ。」
「部屋に露天風呂のついた落ち着いた旅館にでも泊まろうか。」
「はい!」
「風呂から上がれなくなるな。」
「…秀一さんてば…。」
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