2565人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ゆい。何を考えてる?」
「…な、何でもないです。」
「相変わらずわかりやすいな。どんなことが顔に書いてあるか教えてやろうか?」
「え?」
「…『夫婦としての初めての夜。』…」
…ぶ、部長…鋭すぎ。
部長はさらに続けた。
「…『いつも抱かれてるのに、今日はいつもよりドキドキする。…いつもと違う私を見せても…いいのかな?』…いいに決まってる。…いつもと違うゆいを感じたい。」
「…そ、そんなこと思ってません!」
小さな反抗をしてみたけれど、すでに私は部長の下。
熱い視線に捕えられる。
「思ってない?…本当か?…俺の奥さんはつまらないことで意地を張るからな。ゆいが思ってるかどうかなんてすぐにわかる。」
部長の熱いキスが降ってくる。
掌(テノヒラ)を重ね、絡めた指にお互いの結婚指輪の小さな感触だけがいつもと違っていた。
それ以外はいつもと同じ。
…あ、違う。
部長の唇も…指先も…いつも以上に甘かったかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!