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病院は美月さんのマンションからも部長のマンションからもそんなに離れていない産婦人科クリニック。
病院内には妊婦さんやその家族、赤ちゃんを抱いて退院していく母親の姿があった。
受付で美月さんの所在を聞くと、もう陣痛室という部屋に入っているという。
私は看護師さんに案内されてそこに急いだ。
『陣痛室』というその言葉が私をさらにドキドキさせて、…緊張させた。
ドアを開けると、美月さんが既に病院の衣服に着替えてベッドにいた。
意外にケロリとしていて驚いたけれど、私と話して間もなくすると、美月さんの顔が急に歪む。
「ン…。…痛…い…。」
あ、ああ、ああ。
これが陣痛なのね!?
私はとにかくテレビなんかでよく見る、あの腰をさする仕草を見よう見まねでやってみる。
…美月さん…頑張って。
美月さんの長い戦いが始まったんだと…私は一緒に戦う戦士みたいに気合いを入れた。
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