天使

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私だってボーッとしているわけにはいかない。今来たばかりの部長に、看護師さんからもらったアドバイスを伝える。 「もっと下のあたりを出来るだけ強く、こうやって…。」 「こうか?」 「そうです。もっと下まで。」 部長の力強い手は私なんかよりずっと美月さんに安心感を与えたのかもしれない。 部長と私に背を向けながら、美月さんはベッドのシーツをきつく握りしめて声を絞り出した。 「二人とも…ありがとう。頑張るからね。」 美月さんがそういった直後に、看護師さんが二人みえて、美月さんの体の状態をチェックした後、分娩室に移動すると言った。 「もう、赤ちゃんはそこまで来ているわよ。頑張りましょう。」 看護師さんの言葉に美月さんは大きく頷きながら 「はい。」 はっきりした声で答えていた。 「美月さん!頑張って!」 たどたどしい歩みで分娩室に移動する美月さんに思わず大きな声を掛けた。 分娩室の扉が閉まる。 森田部長はまだ到着していなかった。
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