巡る季節

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翌週に行われたみんなでのお祝い。 料理とケーキとお花。たくさんのプレゼントとみんなの笑顔が心音ちゃんを囲んだ。 生まれてひと月の心音ちゃんは私たちがいても、その時間のほとんどは寝ていたけれど、目を開けた時には歓声のような声が上がった。 心音ちゃんを抱く美月さんも、心音ちゃんを見つめる森田部長も他に例えようのない、優しい顔つきだった。 みんなからのプレゼントを私たちの前で広げた美月さんが部長が選んだガラガラを目にした時、 「秀一さんが選んだんですよ。」 私の言葉に一瞬だけ目を見開いて、そのガラガラを心音ちゃんの耳元で小さく揺らした。 「…おじちゃまからの…プレゼントよ。」 美月さんの目が赤くなって、目の淵(フチ)に涙が溜まる。心音ちゃんは動きを止めてその音を聴いているようだった。 小さな奇跡は 大きな奇跡を生みだす。 心音ちゃんは私たちみんなを さらに強く 深く 確かに結び付けていく。 最近の私は いろんなことに感動して 涙を流してばかりだった。
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