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彩(イロド)りのいい、野菜がたくさんあって、カリッカリに焼いたフランスパンもチーズと絡んでおいしくて、みんなでにぎやかな食卓だった。
話題の中心はもちろん、森田部長と美月さんの赤ちゃんのことだった。
予定日は来月8月下旬。
森田部長は出張も外出も多いし、部長だって外出も多い、いざって時は私が一緒に病院に行くと決めていた。
「赤ちゃんグッズはもう揃いましたか?」
「うん。だいたいね。思ってたよりもお金がかかっちゃってビックリしちゃった。」
「そうなんだー。ところで…性別はもうわかってるんですか?」
美咲の言葉に美月さんと森田部長が顔を見合わせた。
「…性別は分かる時期なんだけど…私たちは聞いていないの。…生まれてくるまで聞かないつもり。…生まれてきたその瞬間の感動を味わいたいし、男の子でも、女の子でも生まれてから、その顔を見て名前も決めたいの。」
美月さんの優しい視線はお腹に向けられて、柔らかくなでられるその手のひらは、まるで赤ちゃんを抱いているかのようだった。
みんなの視線が美月さんのお腹一点に注がれて、みんなが同じ想いを抱いていたに違いない。
『みんなで…待ってるからね。』
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