足音

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それからあっという間にひと月が流れようとしていた。 長い冬が溶け始め、春の訪れを感じ始めた3月中旬。 マンションでの土曜の夕飯時に部長から思わぬことを切り出された。 「…なあ、ゆい。先月…アレ、来たか?」 「アレ?」 「ああ、アレだ。」 「…アレ…?…アレ?…アレ!!?」 「…アレって…アレですよね?」 「そうだ、アレだ。」 言っているうちにわからなくなりそうだけど、アレはアレ。 …月に一回の訪問者。 …生理だ。 …来てない。
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