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少しの放心状態の間に、トイレのドアのすぐ外から部長が私を呼んだ。
「…ゆい?大丈夫か?」
「…あ、は、はい。今出ます。」
慌てて、ドアを開けてすぐに部長と向き合う。
見上げる部長の顔はどこまでも優しくて、この人が父親ならこの子も幸せだとぼんやりと思っていた。
トイレから出てもなおぼんやりとする私に部長がもう一度私の顔を覗き込んで言う。
「ゆい?」
その言葉に我に返って、部長に飛びつく。
「…赤ちゃん。できてました。私たちのとこにも…来てくれましたよ。」
言ってる途中から涙が滲んで、声が詰まった。
「…そうか。奇跡だな…。」
「はい。…奇跡ですね。」
部長の腕が優しく力強く私を抱きしめた。
…ううん、
…私と赤ちゃん、
二人を抱きしめてくれた。
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