足音

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完全離れのこの部屋は、このこたつの部屋の他に、別室の寝室も設けられていた。 ゆいを抱いたまま寝室の襖(フスマ)を開けると、行燈(アンドン)の小さな明りが二枚の布団を妖しく照らしていた。 中に入ってゆいを布団にゆっくりと降ろす。 ゆいが名残り惜しそうに俺の首から手を離す動作が、俺の自制心に火をつける。 ゆいに口づけを落とし、ゆいの舌が俺の中に入ってくるのを辛抱強く待つ。 ゆいからして欲しいと小さな願望が疼(ウズ)いていた。 ゆいの舌がゆっくりと俺に絡んだ瞬間、俺たちの新婚初夜が始まる。 …もう、何度目かわからない 俺たちの初夜が…
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