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パタン。
玄関のドアが閉まった。
今日は部長が買い物とお料理をしてくれるんだって。
…大丈夫かな?と思ったけど、部長の優しさに甘えることにした。
私は妊娠6ヵ月を迎えていた。
部長が買い物に行っている間に掃除をしようと思ったけれどアイスティーを飲んでからにしようと思い、アイスティーにガムシロップを入れてソファに座った。
膨らんできたお腹に手を当てて、優しくさする。
甘いアイスティーをすすりながら力を抜いてリラックスしていた。
私の普段の服は妊婦服になり、会社でも黒や紺の妊婦用のワンピースになっていた。
妊婦服で過ごすようになってから私は社長秘書として表に出ることを控え、美咲に任せていた。
美咲があんな風に申し出てくれたことには驚いたけど、本当に嬉しかった。
誰よりも信頼できる美咲に引継ぐことが出来るのは本当に安心だった。
秘書の業務はさすが受付嬢。言葉使いやお客様への対応はお手のもの。経理に関しても私は産休に入るまでの残りの期間で出来るだけたくさんのことをわかりやすいように教えようと、美咲は出来るだけたくさんのことを吸収しようとして二人とも必死だった。
でも、美咲と一緒に仕事が出来るのも嬉しかったし、毎日はとても充実していた。
さてと。
「掃除。掃除。」
私はお腹の赤ちゃんに声を掛けてゆっくりと立ち上がった。
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